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プロンプト設計のコツを徹底解説|最新の生成AIの性能に対応した記法と考え方

更新日:2025.04.30

プロンプト設計のコツを徹底解説|最新の生成AIの性能に対応した記法と考え方

目次

生成AI(ChatGPTやGemini, Copilot, Claudeなど)が普及し、多くの企業が業務効率化やDX推進に向けて導入・活用促進をするようになったことは、大きな変化だと感じます。ですが、どんなに優れた生成AIを導入しても、使う側がうまく指示(プロンプト)を出さなければ十分な性能を引き出せません。本記事では、最新の生成AIの性能や動向にフィットした効果的なプロンプト設計のコツとマインドセットをお伝えします。

プロンプト設計のコツとは?

プロンプトとは、生成AIに入力する指示や質問を指し、その内容が生成AIの回答のクオリティを左右する重要なカギとなります。単に「生成AIに何かを聞けば一発で最適な回答が出る」というものではなく、どういった方向性で答えを導きたいのか、どのような情報や条件が必要なのかを明確にすることが求められます。

たとえば、自分が知りたいことやゴールをはっきりイメージしてからプロンプトを作成すると、生成AIの回答も精度が高まりやすいです。

次の章からはプロンプトのコツと考え方について詳しく深掘りしていきます。

良いプロンプト設計の3つのコツ

1. 具体的で明確な指示を与える

ざっくりした指示は生成AIを戸惑わせてしまうことがあります。なるべく詳細に、必要な情報を整理した上で伝えましょう。

悪い例
「提案書を作って」

良い例

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# 背景
私はコクー株式会社のAI事業部の営業担当者です。

# 目的
生成AI活用を検討している新規顧客(中堅〜大手企業)に向けて、当社のサービス導入を検討してもらうための「提案書ドラフト」を作成したいです。
まだ当社のことを知らない企業にも伝わるように、課題への共感→解決提案→サービス概要→料金案内までを自然な流れで構成してください。

# 想定読者
- DX推進や業務効率化に課題を持つ企業のマネージャークラス・経営層
- AI導入の必要性は感じているが、何から始めるべきかわからない層
- すでにAIツールは入れているが成果が出ていない層
- 社内での活用・内製化を進めたいがリソースがない企業

# 要望
- A4サイズで2ページ分(Word想定)
- 冒頭で「既存顧客との違い」「新規提案で伝えるべき要素」を明記
- 1ページ目では課題の提示と共感、コクーの価値提案
- 2ページ目ではプラン・料金・支援ステップ・導入フロー
- 読みやすい構成(見出し・箇条書き・図解指示あり)
- トーンは信頼感・柔軟さ・実務感を重視したビジネス文書

# 制約
- 現在のサービス概要をそのままなぞる内容ではなく、提案型に再構成
- Webサイトの情報(https://ai.cocoo.co.jp/)と整合性は保つ

# 出力形式
- テキストベースで構成・文章案を提示してください
- Wordに流し込める構成・文面を想定して記述してください

2. 想定するターゲットを明確にする

誰に向けて発信するのかを具体的に示すことで、生成AIはそのターゲットに合った内容を提案しやすくなります。

悪い例
「社内研修の資料を作成して」

良い例

markdown コピーする

#背景
あなたはコクー株式会社の人材育成部に所属し、新卒および中途社員向けの導入研修資料の整備を担当しています。

#目的
新入社員(新卒・中途問わず)が入社後すぐに業務に適応できるよう、「勤怠管理の基本ルール」と「社会人としての基本的なビジネスマナー」に関する内容を体系的にまとめた研修資料を作成してください。
以下3タイプの受講者を想定し、内容が共通で理解できる構成を目指します。
- 新卒社員向け
- 中途社員向け
- 新卒・中途共通向け

#お願い
以下の形式で資料を作成してください。
- 勤怠管理に関するルールは、各項目ごとに「概要」「ポイント」「備考」などを含む表形式で整理すること
- ビジネスマナーに関する内容は、Word形式で整理可能なテキスト形式で記載すること(見出し・箇条書きなどを活用)

#条件
- 難解な表現は避け、新卒社員でも理解しやすいようにシンプルで明快な表現
- 会社独自のルールがある場合は、その旨を明記してください。
- 実務で役立つ「よくあるケース」や「NG例」があれば、補足的に加える

#参考リンク
コクー株式会社 公式HP:https://cocoo.co.jp/

3. 適切なフォーマットを指定する

文章やリスト、表など、伝えたい内容に合わせて形式を指定するだけで、生成AIの出力も格段に整理されます。

悪い例
「備品管理のやり方を説明して」

良い例

markdown コピーする

#前提
あなたは中規模以上の企業における事務・経理部の実務担当者です。
業務の一環として、社内備品の管理ルールの整備を担当しています。

#目的
- 現在、備品管理において明確なルールや手順が定められておらず、社員ごとに管理方法が属人化しています。
- 今後の企業拡大を見据え、以下の2点を重視した備品管理フォーマットの標準化が必要です。
- 新入社員や異動者でも直感的に理解できるシンプルな手順優先度(重要性)や頻度を考慮した、実運用に即したステップ設計

#お願い
- 備品管理の流れを以下の観点で5ステップに整理してください。
- 各ステップは簡潔な見出し+一言説明「優先度」「対応頻度(例:日次・週次・月次・都度)」もあわせて記載ステップの順番は業務の流れに即した順序にしてください

#出力
リスト形式 

大まかな指示から深掘りしていくアプローチも良し

最初から完璧なプロンプトを作成するのはハードルが高いものです。そこでおすすめしたいのが、まずシンプルで大まかな指示を生成AIに与え、そこから少しずつ質問や要望を追加して深掘りしていく方法です。

  • ステップ1:大まかな指示を出す
    例:「新規顧客向けの営業提案を作りたいので、まず全体像をざっくり示してほしい」
    こうした抽象的な依頼であっても、生成AIが何を生成できるのかを見極めることができます。

  • ステップ2:やり取りをしながら詳細を詰める
    「もう少し費用面を具体的に入れてほしい」「現状の競合情報も加えて」といった具合に、生成AIの出力に対して追加リクエストを投げかけましょう。

  • ステップ3:方向性を確認・修正する
    生成された内容が目指すゴールやターゲットに合っているかを見直し、必要に応じて再度プロンプトを修正します。

このように大まかなプロンプトから着手し、生成AIとやり取りを重ねる中で内容をブラッシュアップしていくと、負担が少なく柔軟に方向修正が可能になります。

LLMの急激な進化による「詳細なプロンプトいらない」説

ここ数年で、大規模言語モデル(LLM)の性能は飛躍的に上がっています。少し曖昧な指示でも、かなり高品質な文章や画像を出力できるため、「わざわざ細かい指示を書かなくてもいいのでは?」と感じている方もいるかもしれません。

とはいえ、やはり最終的にはターゲットや目的に合わせた結果を得るために、最低限のプロンプト設計が必要です。たとえば文章のトーンやスタイル、使いたいキーワードなどをはっきり示すだけで、仕上がりの質が大きく変わります。

プロンプトに形式はいらない?思ったことを打ち込む大切さ

世の中には「◯◯式プロンプト」といった型もあり、一定の成果が期待できます。ですが、1.2年前のように専門的な書き方が必須というわけではありません。最近の生成AIは、こちらの意図を読み取る力が高く、言葉尻が多少ラフでもある程度理解してくれます。

まずは、思っていることをそのまま書き綴ってみることがポイントです。たとえば「○○についてこんな感じのイメージだけど、さらに詳しく聞きたい」「どういう切り口だとわかりやすい?」などのように、思考を生の状態で投げかけると、生成AIがそこから要点をつかんで整理してくれることもあります。

最低限必要なプロンプト改善のためのチェックリスト

  • ターゲット(読者)は明確か?(例:初心者、経営者、学生など)
  • コンテンツの目的やゴールは設定されているか?(例:販売促進、知名度向上、教育など)
  • 形式や長さを指定しているか?(例:リスト形式、〇〇文字程度など)
  • 求めるトーンやスタイルを明確にしたか?(例:フレンドリー、ビジネスライク、カジュアルなど)
  • 生成AIとの対話を重ねて深掘りしたか?(対話を通じて不足している情報をAIに尋ね、壁打ちのように前提のすり合わせを行う)

ポイントをすべて詰め込むのが難しい場合は、生成AIと対話しながら少しずつ調整していくのが効果的です。前提情報が食い違っていると仕上がりも変わってくるので、話をしながら修正していくプロセスがとても大切だと思います。

今日から使えるプロンプトのコツ:一文添えて不足情報を洗い出す

前のセクションでも触れましたが、最初のプロンプトに

「生成するにあたり足りない情報があれば聞き返して」

という文言を付け加えるだけでも、指示の精度がぐっと上がります。生成AIが自発的に不足している要素を尋ねてくれるため、必要な情報を漏れなく補うことができるのです。結果として、さらにターゲットや目的に沿った回答や期待に近い回答になる可能性が高まります。

コクーの「AI女子」とは?

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「AI女子」は、企業の生成AI活用・浸透を支援する常駐型DX人財サービスです。

「AI女子」は生成AIはもちろんのこと、Excel、VBA、RPA、IT、デジタルマーケティングなどのスキルと実務経験を兼ね備えているプロ集団です。そのため、生成AIだけではなく、各技術を掛け合わせた本質的な課題解決・業務効率化のサポートが可能です。

数多くの企業に常駐してきた経験から、現場のボトルネック発掘や課題特定、有効施策の提案・実施、分析・効果検証を得意とし、「慎重なPoCを行い生成AIツールを導入したものの社内活用率が低い」「費用対効果が低い・社内で目立った成果がない」「人手不足でPDCAが回っていない」といった課題に向き合い、生成AI活用促進をサポートします。

生成AI活用促進のための戦略・施策策定、データ加工・作業自動化、貴社ユースケースの発掘・展開、分析・効果検証など、貴社の課題・フェーズに合わせた、最適な人財をアサインし効率的にご支援いたします。

まとめ

ここまでお伝えしてきたように、形式にとらわれすぎず、生成AIとのやり取りを通じて目的や前提条件の差を埋めていくことが最も大切なコツです。まずシンプルな指示から始めて、追加の要望や不明点をやり取りしながら深掘りすることで、壁打ちをしているように自分の考えも整理できます。

結果として、より的確でブラッシュアップされた回答や成果物を得られるのはもちろん、自分自身も「何が必要か」「何を重視すべきか」を改めて確認できるでしょう。

こうしたプロセスを意識することで、成果物と自身の思考の両方がどんどん磨かれていきます。ぜひ、今日から少しずつ意識して実践してみてください。

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