
更新日:2025.04.21
目次
企業活動では、企画書や提案書といったスライド資料を“いかに速く、分かりやすく”まとめられるかが成果に直結します。近年は生成AIがそのプロセスを大幅に短縮できるようになり、資料づくりのワークフローそのものが見直されつつあります。本稿では、資料作成の基本ステップを振り返りながら、代表的な生成AIツールの特徴と、AIと人がどこで力を発揮すべきかをご紹介します。
ゴール設定
読み手にどのような行動を取ってほしいのかを明確にします。事業目標や組織方針と整合しているかを最初に確認することで手戻りを防げます。
ターゲット定義
読み手の役職・業務上の関心・決裁権などを具体的に想定します。ここが曖昧だと、情報の深さやトーンがずれてしまいます。
ストーリー設計
行動を促す論理の骨組みを考えます。生成AIに複数案を提示させ、比較しながら取捨選択すると発想の幅が広がります。
ファクト・根拠集め
ストーリーを裏付ける一次情報やデータを収集します。引用元を示してくれる検索特化型AIを活用すると効率的です。
スライド作成
骨子に沿ってページを組み立てます。AIにドラフトを作らせたうえで、社内テンプレートやブランドガイドに沿って調整します。
デザイン調整
レイアウトやビジュアルを整え、読みやすく仕上げます。自動レイアウト機能や生成画像はあくまで叩き台と考え、余白やフォントサイズなど細かな部分は人間が最終確認すると品質が安定します。
AIに任せやすい工程
ストーリー設計とファクト集めは、生成AIが大量の選択肢や下調べを短時間で用意してくれます。初稿づくりのハードルが下がり、比較・吟味に多くの時間を割けるようになります。
人間が深く考える工程
ゴール設定とターゲット定義は、組織の背景や実際の利害関係者を理解している担当者でなければ決め切れません。また、デザイン調整の最終仕上げは「余白の心地よさ」や「その場の空気感」を読む感覚が求められるため、人の目と手が欠かせません。
Copilot for PowerPoint
既存スライドの再構成や自社テンプレートへの自動適用が得意です。社内ドキュメントのアップデートを素早く行いたいときに重宝します。
イルシル(Illshill)
日本語UIと豊富なテンプレートが特徴で、トピックを入力すると構成案から完成形までまとめて生成できます。営業提案や社内稟議を短期間で形にしたい場合に向いています。
Gamma
Webブラウザで動き、スライドをWebページのように共有できます。共同編集機能が充実しているため、多拠点チームでのコラボレーションに適しています。
Napkin AI
テキストを入力すると自動で図解やグラフを生成してくれるため、データや概念を視覚的に示したい資料で効果を発揮します。
それぞれ特性が異なるため、用途(提案書・報告書・社内研修など)やチーム体制、対応言語を踏まえて組み合わせると運用しやすくなります。
ツール | ひとこと特徴 | 得意工程 | 強み | 前提・注意 |
---|---|---|---|---|
Copilot for PowerPoint | Office標準装備のAI秘書 | ②④⑤⑥ | Word/PDF→PPT化・CI適用・ノート生成 | 365+Copilotライセンスが必要 |
イルシル(Illshill) | 国産、日本語UI特化スライドメーカー | ③⑤ | トピック入力→構成案→デザインを一気通貫 | PC版のみ、英語はやや苦手 |
Gamma | Web/PPT/Doc横断ジェネレーター | ③⑤⑥ | 1000超テンプレ、共同編集、リンク共有 | 標準フォーマットが崩れないようガイド必須 |
Napkin AI | テキスト→図解瞬間変換 | ④ | 複雑な図解をPNG/SVG出力、資料に即貼り付け | 日本語ラベル翻訳はβ版 |
まずはAIに初稿を出させる
“空白ページ”に迷う時間をなくし、比較する素材を確保します。
AIの案は素材と捉える
生成されたストーリーやデザインをそのまま使うのではなく、必要に応じて要素を組み替え、独自性を高めます。
引用元のチェックを徹底する
AIが提示する情報でも必ず出典を確認し、信頼性を担保します。
読み手の視点で読み合わせる
ターゲットに近い同僚や上司に読んでもらい、違和感を洗い出します。
完成形をAIに頼むタイミングを見極める
方向性が固まる前に「全部作って」と依頼すると、小さくまとまりがちなため、まずはアイデアや論点の提示にとどめるのが得策です。
「AI女子」は、企業の生成AI活用・浸透を支援する常駐型DX人財サービスです。
「AI女子」は生成AIはもちろんのこと、Excel、VBA、RPA、IT、デジタルマーケティングなどのスキルと実務経験を兼ね備えているプロ集団です。そのため、生成AIだけではなく、各技術を掛け合わせた本質的な課題解決・業務効率化のサポートが可能です。
数多くの企業に常駐してきた経験から、現場のボトルネック発掘や課題特定、有効施策の提案・実施、分析・効果検証を得意とし、「慎重なPoCを行い生成AIツールを導入したものの社内活用率が低い」「費用対効果が低い・社内で目立った成果がない」「人手不足でPDCAが回っていない」といった課題に向き合い、生成AI活用促進をサポートします。
生成AI活用促進のための戦略・施策策定、データ加工・作業自動化、貴社ユースケースの発掘・展開、分析・効果検証など、貴社の課題・フェーズに合わせた、最適な人財をアサインし効率的にご支援いたします。
生成AIに関する各種問い合わせに迅速対応し、専用ヘルプデスクでサポート。
定期的な勉強会や研修を通じて、社員のリテラシー向上と活用率の向上。
ポータルサイトやメルマガを活用し、最新情報や成功事例を効果的に発信。
貴社独自のプロンプト作成、既存プロンプトの添削、各部署へのヒアリングを通じた高度なプロンプト作成を実施。
生成AIに読み込ませるためのデータ加工・クレンジング、RAG検証。活用ログの解析や集計分析作業を請負
VBA、RPA、GASなどを活用したスクリプト構築や、生成AIと他ツールの連携による業務効率化を推進。
生成AI導入・活用促進に合わせた運用体制や目標設定の見直し、業務プロセス全体の最適化、部門間連携を強化するための仕組みづくり・推進体制構築を支援。
生成AIは資料づくりの「速度」と「選択肢」を大きく向上させる一方、ゴールやターゲット設定といった本質的な判断は人が担う必要があります。AIと人の得意分野を見極め、適材適所で組み合わせることで、提案の質と作成スピードを同時に高められます。2025年現在、ツールはさらに進化し続けています。まずはストーリー設計とファクト集めの工程から導入し、チームのワークフローに合った最適なツールと使い方を探してみてはいかがでしょうか。