近年、生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)の進化は目覚ましいものがあります。文章作成、要約、そして斬新なアイデアの発想支援まで、その活躍の場は広がるばかりです。ChatGPT、Microsoft Copilot、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeといった名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。これらのモデルが注目を集める一方で、企業向けには、日本語の自然さや国内の法規制への対応を重視した国産プロダクトも続々と登場しています。
本稿では、企業が生成AIを導入する際に、ぜひ押さえていただきたい重要なポイントをまとめました。具体的な導入事例から、主要なLLMの特徴、法人向けの国産SaaS型生成AIプラットフォームの比較検討、さらには導入におけるリスクや課題、そしてその対策まで、深く掘り下げて解説します。もしあなたが、DX推進室や情報システム部門で生成AIの導入を検討されているなら、きっとお役に立てるはずです。
なぜ今、企業の現場で生成AIの導入が進むのか
その背景には、いくつかの大きな理由があります。
業務効率化 ー 日常業務で発生する、大量のドキュメント作成や煩雑なメール対応などを自動化・効率化することで、企業の生産性向上とコスト削減が期待されています。これは、時間と労力を大幅に節約できる可能性を秘めています。
DX推進 ー デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、生成AIは新たなサービスの開発や、これまで困難だった高度なデータ分析などを可能にする強力なツールとして注目されています。ビジネスの可能性を大きく広げる力となるでしょう。
顧客満足度向上 ー チャットボットや自動応答システムに生成AIを活用することで、顧客からの問い合わせに対し、24時間体制での迅速なサポートが実現します。これにより、顧客満足度の向上に大きく貢献することが期待できます。
主要な生成AIモデル(エンタープライズ版)の概要
それでは、主要な企業向け生成AIサービスについて、その概要と特徴を見ていきましょう。
ChatGPT Enterprise(OpenAI)
概要と特徴
OpenAIが提供する法人向けのAIソリューション、ChatGPT Enterprise。その心臓部には、最新のGPT-4oモデルが搭載されています。高速な応答速度、長文のコンテキスト処理能力、高度なデータ分析機能、そして企業ごとのニーズに合わせたカスタムGPTの作成機能など、ビジネスの現場で求められる多様な機能を提供します。
主な機能
- GPT-4oによる高性能な応答
- 128Kトークンという、非常に長い文章の文脈を理解する処理能力
- 無制限のデータ分析機能
- 企業独自のカスタムGPTの作成と共有
- 強固なセキュリティとプライバシー保護(学習データに利用されない)
導入メリット
- 柔軟なAPIとプラグインによる拡張性 ー ChatGPT Enterpriseの大きな特徴は、豊富なAPIとプラグインによって、既存の業務システム(CRMやERPなど)と容易に連携できる点です。「うちの業務はちょっと特殊だから…」という企業でも、柔軟に対応できるでしょう。
- カスタムGPTによる企業独自AIの迅速な構築 ー 専門的な知識がなくても、自社専用の「カスタムGPT」を簡単に作成できる機能は画期的です。例えば、社内マニュアルやFAQを読み込ませるだけで、オリジナルのAIチャットボットを短期間で構築できます。
- 高速かつ大量の文書処理能力 ー 128Kトークンという長文コンテキスト処理能力は、企業内で扱う大量の文書(契約書、マニュアル、レポートなど)の要約、分類、解析作業を劇的に効率化します。これまで数日かかっていた作業が、数分で完了するかもしれません。
導入を検討する際の留意点
- 利用ルールやガイドラインの整備は不可欠です。特に、機密性の高い情報の取り扱いについては、事前に明確なルールを定めておくことが重要です。
- 日本語の精度は向上していますが、英語に比べるとまだ発展の余地があります。日本語独特のニュアンスが重要な業務では、テスト運用を推奨します。
参考:https://openai.com/ja-JP/news/
Gemini for Google Workspace(Google)
概要と特徴
Googleが提供するGeminiは、テキスト、画像、音声、動画といった多様なデータを統合的に処理できる、マルチモーダルな大規模言語モデルです。Google Workspaceとの連携により、Gmail、ドキュメント、スプレッドシートなどの日常的な業務アプリケーションでの生産性向上を強力にサポートします。
主な機能
- テキスト、画像、音声、動画など、多様な形式のデータを処理するマルチモーダル入力
- Gmail、Googleドキュメント、スプレッドシート、MeetといったGoogle Workspaceアプリケーションとの深い統合
- 会議の要約、ドキュメントの自動生成、データ分析の支援
- NotebookLM Plusによる高度なノート作成機能
導入メリット
- Google Workspaceとのネイティブ統合によるシームレスな業務支援 ー Geminiは、日々の業務で頻繁に利用するGoogle Workspaceアプリケーションと深く統合されています。これにより、メールの要約や返信の提案、ドキュメントの自動生成、スプレッドシートでのデータ分析、プレゼンテーション資料の作成支援、会議の議事録作成など、業務効率化を強力に後押しします。
- マルチモーダルAIによる多様なデータの処理能力 ー テキストだけでなく、画像、音声、動画といった複数のデータ形式を統合的に扱えるGeminiは、従来のテキストベースのAIでは難しかった業務にも対応できます。例えば、会議の音声データを文字起こしして要約したり、画像や動画を解析してレポートを作成したりすることが可能です。
- NotebookLM Plusによる高度な情報整理と共有 ー Geminiの機能の一つであるNotebookLM Plusは、複雑なトピックや大量の情報を整理し、チーム内で共有するのに役立ちます。関連資料やデータをアップロードするだけで、Geminiがそれらを解析し、要点を抽出してカスタマイズされたノートを作成します。これは、新入社員の研修やプロジェクトの立ち上げ時など、情報の整理と共有が重要な場面で特に役立ちます。
留意点
- 一部の高度な機能は、Google One AI Premiumプランへの加入が必要です。
- 最新機能の提供状況は、地域によって異なる場合があります。
参考:https://workspace.google.com/intl/ja/solutions/ai/
Claude for Enterprise(Anthropic)
概要と特徴
Anthropicが提供するClaudeは、安全性と倫理性を重視した設計が特徴の法人向け生成AIです。最新モデルであるClaude 3.7 Sonnetは、ユーザーが推論の深さを調整できる「ハイブリッド推論」機能を搭載し、複雑なビジネスアプリケーションやコーディング問題にも対応します。
主な機能
- 迅速な応答と詳細な推論を両立する「ハイブリッド推論」機能
- モデルの思考過程を可視化する「スクラッチパッド」機能
- Gmail、Googleカレンダー、Googleドキュメントとの連携
- 最大45分間の「リサーチモード」による深い情報調査能力
Claude for Enterprise の導入メリット
- ハイブリッド推論による柔軟な応答 ー Claude 3.7 Sonnetは、タスクの複雑さに応じて応答の深さと速度を調整できる「ハイブリッド推論」モデルを採用しています。これにより、日常的な問い合わせ対応から、高度な問題解決まで、幅広い業務を効率的にサポートします。
- 拡張されたコンテキスト処理能力 ー 最大500,000トークンという広大なコンテキストウィンドウを持つClaude for Enterpriseは、大規模な文書やデータセットの処理を可能にします。長文の契約書や複数の関連文書を一度に解析し、重要な情報を抽出するなどの高度なタスクもこなします。
- 開発者向けの高度なコーディング支援 ー Claude 3.7 Sonnetは、ソフトウェア開発においても高い精度を発揮します。SWE-bench Verifiedベンチマークで優れた成績を収めており、コマンドラインツール「Claude Code」を通じて、開発者はターミナルから直接AIにコーディングタスクを依頼できます。
- Google Workspaceとの統合による業務効率化 ー Gmail、Googleカレンダー、Googleドキュメントとの連携により、会議の要約、アクションアイテムの抽出、関連文書の検索など、日常業務の効率化を支援します。情報の整理と共有が容易になり、チーム全体の生産性向上に貢献します。
留意点
- 日本語対応や導入支援体制は、英語圏ほど充実していない場合があります。
- 導入には、パートナー企業との連携が必要となるケースがあります。
参考:https://support.anthropic.com/ja/
Microsoft 365 Copilot(Microsoft)
概要と特徴
Microsoft 365 Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsといったOffice製品に深く統合された生成AIです。GPT-4oモデルを基盤とし、ユーザーのMicrosoft Graphデータを参照することで、コンテキストに合った的確な回答や提案を行います。
主な機能
- Word、Excel、PowerPointなどのOffice製品内での自然な言語による操作
- Teams会議中のリアルタイムな支援(録音や記録なしでの利用も可能)
- Copilot Pagesによるプロジェクトベースのデータ整理
- Slack、Google Drive、Jiraなどの外部プラットフォームとの統合
- Copilot StudioによるカスタムAIエージェントの作成
導入メリット
- Microsoft 365アプリケーションとのシームレスな統合 ー Copilotは、日常的に使用するMicrosoft 365アプリケーションと深く統合されています。これにより、ユーザーは普段の操作方法を大きく変えることなく、AIの支援を受けながら業務を進めることができます。例えば、Wordでの文書作成時にAIがリアルタイムで提案を行ったり、Excelでのデータ分析を自動化したりすることが可能です。
- Microsoft Graphとの連携による高度な情報活用 ー Copilotは、Microsoft Graphと連携することで、ユーザーのメール、カレンダー、ドキュメント、チャットなどの情報を横断的に活用します。これにより、会議の要約やアクションアイテムの抽出、関連ドキュメントの提示など、状況に応じた的確な支援が可能となります。
- セキュアな環境でのAI活用 ー Copilotは、Microsoft 365の厳格なセキュリティ基準を継承しており、企業のデータを安全に取り扱います。ユーザーが入力したデータは、AIモデルの学習に利用されることはなく、アクセス権限に基づいて情報が提供されるため、情報漏洩のリスクを低減します。
- 業務効率化と生産性向上 ー Copilotを活用することで、Outlookでのメール作成や返信の自動化、Teamsでの会議内容の要約、PowerPointでのプレゼンテーション資料の自動生成など、さまざまな業務で時間を節約し、生産性を向上させることができます。
留意点
- 追加のライセンス費用が発生する場合があります。
- 全社展開には、段階的な導入と効果測定が推奨されます。
参考:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/enterprise
これらの生成AIモデルは、それぞれ独自の強みを持っており、企業のニーズに合わせて最適な選択をすることが重要です。導入を検討する際には、各サービスの特徴、提供機能、セキュリティ体制、そしてコストなどを総合的に評価し、自社の業務プロセスや目的に最も適したソリューションを選定しましょう。
法人向け国産生成AIプラットフォームのご紹介
グローバルなAIサービスの活用が進む一方で、企業からは「社内データの取り扱いは本当に安全か」「自社の特殊な業務に合わせた運用は可能なのか」「日本の商習慣や法規制にきちんと対応しているのか」といった、独自の課題や懸念の声が上がっています。
これらの課題に応えるべく登場しているのが、日本企業のニーズを深く理解し、設計された国内発のSaaS型生成AIプラットフォームです。これらのサービスは、日本国内でのデータ管理を徹底し、各業界特有の知識や業務プロセスを柔軟に反映できる仕組みを備えている点が大きな特徴です。
ここでは、日本のビジネス環境に最適化された3つのSaaS型生成AIサービス、「exaBase生成AI(エクサウィザーズ)」、「JAPAN AI(ジーニー)」、「HEROZ ASK(HEROZ株式会社)」をご紹介します。これらの情報が、貴社にとって最適なAI導入のヒントとなれば幸いです。
JAPAN AI |ジーニー
JAPAN AIの概要と特徴
ジーニー株式会社が開発・提供する「JAPAN AI CHAT」は、複数の大規模言語モデル(LLM)に対応した法人向けの生成AIプラットフォームです。企業の業務効率化と生産性向上を強力に支援します。特に、独自開発の高性能なRAG(検索拡張生成)技術を活用し、社内外の膨大なデータから必要な情報を迅速かつ的確に提供できる点が大きな強みです。
JAPAN AIの主な機能
- マルチLLM対応 ー ChatGPT、Gemini、Claudeなど、複数の高性能な生成AIモデルを、個別の契約なしで利用・切り替えが可能です。
- 高性能RAG技術 ー 自社開発のRAG技術により、社内外の様々なデータから、必要な情報を素早く検索し、精度の高い回答を生成します。
- プロンプトテンプレート ー 豊富なプロンプトテンプレートが用意されており、自社の業務に合わせてカスタマイズすることも可能です。
- 高度なセキュリティ対策 ー 上場企業水準のセキュリティを誇り、データ暗号化やアクセス制限など、厳重なセキュリティ対策を提供しています。
- 手厚いカスタマーサポート ー 導入支援から、利用開始後の無償カスタマーサポートまで提供しており、初めての生成AI導入でも安心して利用できます。
JAPAN AIの導入メリット
- 高精度な情報検索と応答 ー 独自開発の高性能RAG技術により、社内外の膨大なデータから、必要な情報を迅速かつ的確に提供します。これにより、情報検索にかかる時間を大幅に削減し、業務効率を向上させます。
- 柔軟なカスタマイズ性 ー 豊富なプロンプトテンプレートを活用し、自社の業務フローに合わせて柔軟にカスタマイズできます。これにより、AIを最大限に業務に最適化し、より高い効果が期待できます。
- 高度なセキュリティ対策 ー 上場企業水準のセキュリティ体制により、データ暗号化やアクセス制限など、企業の大切な情報をしっかりと守ります。安心して機密情報を扱うことができるでしょう。
- 無償の導入支援とサポート ー 導入前から利用開始後まで、手厚いサポート体制が用意されています。初めて生成AIを導入する企業でも、安心して利用を開始できます。
参考:https://japan-ai.co.jp/
exaBase生成AI|株式会社エクサウィザーズ
exaBase生成AIの概要と特徴
株式会社エクサウィザーズが提供するexaBase生成AIは、GPT-4をはじめとする複数の高性能な生成AIモデルを活用し、企業が持つ独自のデータと組み合わせて利用できる法人向けプラットフォームです。特に、Retrieval-Augmented Generation(RAG)という技術により、社内に蓄積された専門情報をAIが即座に参照し、精度の高い回答を生成できる点が大きな特徴です。
exaBase生成AIの主な機能
- リアルタイムRAG(企業独自データの即時活用) ー 社内の契約書、マニュアル、過去の議事録など、様々なドキュメントをリアルタイムに参照し、業務に直結する精度の高い回答を生成します。
- セキュアな国内データセンター運用 ー すべてのデータ処理を日本国内のデータセンターで行い、情報漏洩や海外へのデータ流出のリスクを低減します。
- マルチAIモデル対応(GPT-4、Claude、Gemini、Tsuzumiなど) ー 複数の生成AIモデルを用途や精度に応じて柔軟に切り替えることが可能です。
- 詳細なセキュリティ管理機能 ー ユーザーアクセス制御、IPアドレス制限、利用ログ管理など、法人利用に必要な高度なセキュリティ環境を提供します。
- 利用状況のリアルタイム可視化・効果測定 ー AI導入後の活用状況をリアルタイムで数値化し、社内へのAI浸透度や効果を明確に測定できます。
- カスタムテンプレート機能(独自のテンプレート作成) ー 企業独自の業務フローや頻繁に利用する形式に合わせたオリジナルのテンプレートを作成・保存でき、繰り返しの作業を大幅に効率化します。
exaBase生成AIの導入メリット
- 『リアルタイムRAG』で社内ノウハウを最大活用 ー 社内に眠る専門知識やノウハウをAIが瞬時に参照し、日々の業務に活かすことができます。外部の一般的な情報に頼ることなく、自社固有の知識を最大限に活用できます。
- 『国内運用の徹底』による安心のセキュリティ体制 ー 海外へのデータ流出リスクが低いため、機密性の高い情報を取り扱う金融機関や医療機関、官公庁などでも安心して利用できます。
- 『マルチAIモデル対応』で業務特性に最適化 ー GPT-4をはじめ、Claude、Geminiなど複数のAIモデルを、業務の目的や求められる精度に応じて使い分けることで、業務の質と効率を向上させます。
- 『リアルタイム効果測定』で導入成果を明確化 ー AI導入による効果をリアルタイムで数値として把握できるため、ROI(投資対効果)を明確に評価し、社内での活用促進や改善活動に役立てることができます。
- 『カスタムテンプレート』による独自業務の効率化 ー 自社で頻繁に使用する業務文書や報告書などをテンプレート化することで、繰り返しの作業時間を大幅に短縮し、業務効率を向上させます。
参考:https://exawizards.com/exabase/gpt/
HEROZ ASK|HEROZ株式会社
概要と特徴
「HEROZ ASK」は、HEROZ株式会社が開発した法人向けの生成AIアシスタントSaaSです。ChatGPTなどの高性能な生成AIを活用し、社内に存在する様々なデータ(PDF、テキスト、音声など)の検索・要約・翻訳や、会議や商談の音声データの文字起こしを通じて、企業のあらゆる業務を強力にサポートします。2024年5月の正式リリース以降、建設業界、製造業界、IT業界など、多岐にわたる業界で大手企業から中小企業まで幅広く導入され、わずか半年で導入企業数が100社を突破するなど、その勢いは増しています。
主な機能
- 社内データの検索・要約・翻訳 ー 社内に蓄積されたPDF、テキスト、音声データなどをAIが高度に解析し、必要な情報を迅速かつ的確に提供します。
- 音声の文字起こし ー 会議や商談などの重要な音声データを高精度に文字起こしし、議事録作成や内容共有の効率化に貢献します。
- グループ権限機能 ー 部外秘のデータへのアクセスを制限し、権限のあるユーザーのみが利用できるようにすることで、チーム内でのファイルやプロンプトの安全な共有を実現します。
- 高いカスタマイズ性 ー 社内外の様々な形式の独自データ(PDF、テキスト、音声など)を柔軟に読み込むことができ、企業のニーズや目的に合わせた多様な活用が可能です。
- 強固なセキュリティ対策 ー 第三者機関によるクラウドサービスのリスク評価において、上位1%という非常に高い評価を獲得しており、安心・安全なセキュリティ環境を提供します。
導入メリット
- 業界特化型のAIアシスタント ー 特に建設業界においては、施工管理資料や設計図書などの専門的な文書の検索や要約に最適化されており、業務効率化と精度の向上に大きく貢献します。
- 安心・安全なセキュリティ体制 ー 第三者機関から高い評価を得ているセキュリティ体制により、社外秘の重要なデータをAIの学習に利用することなく、安心して業務効率化を実現できます。
- チームでの利用を想定した権限管理 ー 標準機能としてグループ権限管理が提供されており、機密性の高いデータへの不正アクセスを防ぎ、チーム内での安全な情報共有を促進します。
- 初めての生成AI導入でも安心のサポート体制 ー 専任のカスタマーサポート担当者が、具体的な業務への活用方法を丁寧に提案し、導入から運用までをしっかりとサポートするため、生成AIの導入が初めての企業でも安心して利用を開始できます。
- コストを抑えた導入が可能 ー 1ライセンスから導入可能で、初期費用や従量課金がなく、シンプルな料金プランが用意されています。特に小規模なチームでの導入においては、業界でも最安水準のライセンス体系となっています(19ID以下の契約の場合、月額1,980円/ユーザー)。
参考:https://herozask.ai/
SaaS生成AIプラットフォームがおすすめな企業の特徴
グローバルな生成AIサービスが注目される一方で、国内のSaaS型生成AIプラットフォームは、以下のような特徴を持つ企業にとって特に有効な選択肢となります。
- データを国内で管理し、セキュリティを徹底したい企業
日本国内のデータセンターで運用されるため、海外への情報流出リスクを低減できます。金融、医療、官公庁、製造業など、特に情報管理の厳格な業界に適しています。
- 自社業務に合わせて柔軟にカスタマイズしたい企業
汎用的なAIとは異なり、プロンプトテンプレートや業務フローを企業ごとに柔軟にカスタマイズできるため、自社独自の業務プロセスや専門用語を正確に反映し、より実用的なAI活用が可能です。
- 専門人材なしで迅速にAIを導入したい企業
IT専門の人材が不足している中堅・中小企業でも、専門知識がなくても比較的容易に導入できます。導入から運用まで手厚いサポートが提供されるため、安心してAI活用を始めることができます。
- コストを明確に管理・抑制したい企業
海外の汎用AIサービスにありがちな従量課金や予測不可能な追加オプションがなく(Copilot,ChatGPTを除く)、初期費用や月額ライセンス料金が明確であるため、予算管理が容易です。(使用モデルによって従量課金が発生する国産Saas型生成AIプラットフォームもあります。)
- 日本企業特有の商習慣や業務プロセスに対応したい企業
国内のプラットフォームは、日本の稟議制度、営業スタイル、顧客対応など、日本企業特有の商習慣や業務プロセスに最適化されているため、海外製のAIよりもスムーズに業務にフィットし、早期に効果を実感できます。
- 初心者でも簡単に使えるUI/UXを求める企業
直感的に操作可能なUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)が設計されているため、初めてAIを導入する企業でも簡単に利用でき、社員全体へのスムーズな浸透が期待できます。
生成AI導入時の課題・リスクと対策
生成AIの導入は多くの可能性を秘めている一方で、いくつかの課題やリスクも存在します。ここでは、主要な課題とそれに対する具体的な対策について解説します。
データ漏洩・ガバナンス
課題
社員が外部のクラウド型生成AIに機密情報を入力してしまうと、第三者への情報提供や意図しない情報漏洩のリスクが高まります。また、利用状況やアクセスログを適切に追跡できない環境では、ガバナンスを維持することが難しく、コンプライアンス違反につながる可能性も否定できません。
対策
- オンプレミス/プライベートクラウドでの運用 ー データを外部に出さない仕組みを構築することで、情報漏洩のリスクを大幅に低減します。
- 利用規定の整備 ー 機密データや個人情報の入力を明確に禁止し、違反した場合の対応策を具体的に定めます。
- 監査ログ管理 ー ユーザーごとの操作履歴を詳細に記録し、不審なアクセスや不正利用を早期に発見できる体制を構築します。
誤情報(ハルシネーション)・偏見
課題
生成AIは、もっともらしい回答を生成する一方で、事実とは異なる情報(ハルシネーション)を含むことがあります。特に、法務や医療などの専門分野で誤った情報を鵜呑みにしてしまうと、重大なトラブルにつながる可能性があります。また、学習データに偏りがある場合、差別的あるいは偏見的な表現を生成するリスクも考慮する必要があります。
対策
- 出典表示機能(RAG)の活用 ー 回答の根拠となった情報を明確に表示することで、情報の信頼性を高めます。
- ダブルチェック体制 ー AIが出力した情報を鵜呑みにせず、重要な業務判断においては必ず人間の目で検証するプロセスを導入します。
- 定期的なモデレーション・レビュー ー 回答ログを定期的にチェックし、品質と安全性を監視する体制を構築します。
その他のリスク
プロンプトインジェクション
悪意のあるユーザーが、AIへの指示文を意図的に操作し、不正な操作を実行させたり、機密情報を取得したりする可能性があります。
対策 ー ベンダーが提供するプロンプトのフィルタリング機能を活用し、不適切な入力や悪意のある命令を遮断します。
著作権問題
AIの学習データに含まれる著作物の利用範囲が不明確な場合、生成されたコンテンツが著作権侵害にあたるリスクがあります。
対策 ー 社内ガイドラインで生成AIの利用範囲を明確化し、著作権に配慮した利用を徹底します。
倫理・バイアス
学習データに偏りがあると、AIが差別的または偏見的な表現を生成する可能性があります。
対策 ー ベンダーが提供するフィルタリング機能を活用するとともに、生成されたコンテンツのログ監査を実施し、不適切な発言を早期に発見し、必要に応じて是正措置を講じます。
導入フローと意思決定のポイント
生成AIを企業に導入する際には、計画的なステップと慎重な意思決定が不可欠です。以下に、一般的な導入フローと意思決定の重要なポイントをまとめました。
ツール選定・方針策定
- 導入の目的と、どの業務に生成AIを活用したいのかを具体的に明確化します。
- ChatGPTやCopilotなどのグローバルLLMと、exaBase生成AI、JAPAN AI、HEROZ ASKのような国産Saas生成AIプラットフォームを詳細に比較検討します。
- 情報システム部門やセキュリティ部門と緊密に連携し、機密情報の取り扱いに関する明確な方針を策定します。
- 導入効果を客観的に測定するためのKPI(重要業績評価指標)を設定します(例:問い合わせ対応時間の30%削減など)。
PoC(概念実証)の実施
- 特定の部署やプロジェクトなどの小規模な範囲で試験的に導入し、生成AIの有用性、潜在的なリスク、導入にかかるコストなどを総合的に評価します。
- 誤情報の発生頻度や、実際に利用するユーザーからのフィードバック(満足度など)を丁寧に収集し、問題点があれば早期に発見し、改善策を検討します。必要に応じて、別のサービスの検討も視野に入れます。
本格導入・スケール展開
- PoCで得られた成功事例を社内全体に共有し、生成AIの活用範囲を段階的に拡大していきます。
- 全社員向けの教育プログラムや利用ルールの周知を徹底し、安全かつ効果的な利用を促進します。また、利用状況を継続的にモニタリングする体制を構築します。
- ベンダーと協力しながら、オンプレミスまたはクラウドの最適な構成を検討し、セキュリティ設定を強化します。
運用・継続的改善
- 導入後も、生成されたコンテンツのログ監査や定期的なレビューを実施し、問題点を早期に検知し、迅速に対処します。
- 設定したKPIに基づいて導入効果を継続的にモニタリングし、必要に応じてシステムのアップデートや機能追加を行います。
- AI技術は常に進化しているため、モデルのバージョンアップやプロンプトの最適化など、継続的な改善活動を積極的に行います。
生成AIの導入は、企業の生産性向上や新たな価値創造に大きく貢献する可能性を秘めています。本稿が、皆様の企業における生成AI導入の一助となれば幸いです。
コクーの「AI女子」とは? ー 貴社使用の生成AIモデルの活用支援もおまかせ

「AI女子」は、企業の生成AI活用・浸透を支援する常駐型DX人財サービスです。
「AI女子」は生成AIはもちろんのこと、Excel、VBA、RPA、IT、デジタルマーケティングなどのスキルと実務経験を兼ね備えているプロ集団です。そのため、生成AIだけではなく、各技術を掛け合わせた本質的な課題解決・業務効率化のサポートが可能です。
数多くの企業に常駐してきた経験から、現場のボトルネック発掘や課題特定、有効施策の提案・実施、分析・効果検証を得意とし、「慎重なPoCを行い生成AIツールを導入したものの社内活用率が低い」「費用対効果が低い・社内で目立った成果がない」「人手不足でPDCAが回っていない」といった課題に向き合い、生成AI活用促進をサポートします。
生成AI活用促進のための戦略・施策策定、データ加工・作業自動化、貴社ユースケースの発掘・展開、分析・効果検証など、貴社の課題・フェーズに合わせた、最適な人財をアサインし効率的にご支援いたします。
現在、「AI女子」導入企業様で行なっている主な業務例
問い合わせ対応・ヘルプデスク運営
生成AIに関する各種問い合わせに迅速対応し、専用ヘルプデスクでサポート。
勉強会・研修などの教育実施
定期的な勉強会や研修を通じて、社員のリテラシー向上と活用率の向上。
最新情報・事例のコンテンツ作成・発信
ポータルサイトやメルマガを活用し、最新情報や成功事例を効果的に発信。
プロンプト作成・検証
貴社独自のプロンプト作成、既存プロンプトの添削、各部署へのヒアリングを通じた高度なプロンプト作成を実施。
データ整備とRAG検証
生成AIに読み込ませるためのデータ加工・クレンジング、RAG検証。活用ログの解析や集計分析作業を請負
定型作業の自動化
VBA、RPA、GASなどを活用したスクリプト構築や、生成AIと他ツールの連携による業務効率化を推進。
業務設計・戦略策定
生成AI導入・活用促進に合わせた運用体制や目標設定の見直し、業務プロセス全体の最適化、部門間連携を強化するための仕組みづくり・推進体制構築を支援。
まとめ
まとめ|自社にあった生成AIツールを選ぶために
本稿では、進化著しい生成AIが企業のビジネスにもたらす可能性と、導入にあたって考慮すべき重要なポイントを詳しく解説してきました。
生成AIは、業務効率化、DX推進、顧客満足度向上といった多岐にわたる領域で、その力を発揮し始めています。ChatGPT Enterprise、Gemini for Google Workspace、Claude for Enterprise、Microsoft 365 Copilotといったグローバルなサービスは、それぞれ独自の強みと特徴を持ち、企業のニーズに応じた選択が可能です。
一方で、日本企業特有の課題や要件に対応するために、exaBase生成AI、JAPAN AI、HEROZ ASKといった国産SaaS型プラットフォームも注目を集めています。これらのサービスは、国内でのデータ管理、柔軟なカスタマイズ性、手厚いサポート体制などを強みとし、より安心して導入・運用できる環境を提供します。
生成AIの導入は、企業の成長戦略において重要な一手となりえますが、データ漏洩や誤情報、著作権侵害といったリスクも存在します。これらの課題に対しては、適切な対策を講じることが不可欠です。
導入を成功させるためには、明確な目的の設定、PoCによる検証、段階的な展開、そして継続的な運用と改善が重要となります。情報システム部門やセキュリティ部門との連携を密にし、自社のビジネスに最適な生成AI活用戦略を描くことが、競争優位性を確立するポイントとなるでしょう。