
更新日:2025.04.30
目次
企業を取り巻く環境は急速に変化しています。顧客ニーズの多様化、少子高齢化による人手不足、デジタル技術の進化、そしてグローバル競争の激化。もはや従来のやり方では持続的な成長が難しくなっています。
その中で注目されているのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。しかし、単にITツールを導入したり、新しいシステムを入れたりすることがDXではありません。真の課題は、「自社のDXの現在地がどこにあるのか」「何を変えなければならないのか」を把握できていない企業が多いという点にあります。
そうした“見えない課題”を客観的に可視化するために設計されたのが、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が共同で策定した「DX推進指標」です。
この記事では、DX推進指標の概要、構成、活用方法、さらに2025年時点で成果を上げている企業の共通点まで、実務に役立つ形で徹底解説します。
DX推進指標は、企業が自社のDX推進状況を自己診断できるフレームワークです。2019年に公開され、業種や規模を問わず幅広い企業で活用されています。
この指標は単なるチェックリストではなく、以下の3つの目的を果たします。
言い換えれば、経営・業務・ITを橋渡しする中期的な戦略ツールとして機能します。
DX推進指標は、大きく以下の2つの観点から構成されています。
企業のDX推進を支える文化や体制、方針が整っているかを測る指標です。
以下が主な評価ポイント
この「土台」が不十分なままでは、どれほど優れたIT施策を導入しても現場に定着せず、表面的な“なんちゃってDX”に終わってしまいます。
DXを実現するための技術基盤が整っているかを評価します。
主な評価項目は以下のとおり
特に、部門ごとのデータ分断が続くと、データドリブン経営の実現は困難です。
IPAの公式サイトから、Excel形式の自己診断フォーマットを無料でダウンロード可能です。初めての企業でも取り組みやすいよう、記入ガイドも用意されています。
IT部門だけでなく、経営層、業務部門、人事部門など、複数の立場から議論・記入することが重要です。
評価の“ズレ”が社内の温度差や課題の正体を明らかにしてくれます。
記入後は、以下の観点から分析し、具体的なアクションに落とし込みましょう。
また、IPAに診断結果を提出することで、ベンチマークデータと比較し、業界内での自社の立ち位置を把握できます。
2025年現在、DXで成果を出している企業の取り組みには、共通する「4つの視点」が見られます。
これらは、業種や規模に関係なく、持続的にDXを成功させている企業の共通項です。
以下では、実際の企業事例を交えながら、こうした特徴がどのように現れているのかを解説します。
アシックスは、2024年に経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「DXグランプリ」に選出されました。
その理由として、「経営トップによるビジョン策定と実行力」「全社的なデータ活用の推進」「人材戦略との連動」といった、DXを企業全体の経営課題として捉える姿勢が高く評価されています。
特に注目すべきは、DXの取り組みを一過性のプロジェクトにとどめず、PDCA型の経営に組み込み、継続的な改善と学習の文化を築いている点です。経営層の本気度と、現場との一体感ある推進体制が、成果に直結しています。
さらに、DXの進捗管理では、「デジタル施策が業績にどのような影響を与えたか」といった定量的指標だけでなく、社内文化や社員意識の変化といった定性的なKPIも重視しています。このように多面的な視点でDXの効果を評価し、改善に活かすサイクルを構築しています。
また、アシックスはクラウドやAIなどの先端技術の導入に際して、初期段階では外部ベンダーとの協業を通じて知見を得ながらも、最終的には自社運用へ移行することを見据えた内製化戦略を採用しています。この柔軟かつ現実的なスタンスも、成果を上げているポイントです。
参考:アシックスが「DX銘柄」において「DXグランプリ 2024」に選定
誤解 | 正しい理解 |
スコアが高ければ問題ない |
スコアはあくまで兆候。重要なのは“なぜその評価になったか”を見極めること
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IT部門だけで進められる |
DXは全社横断の改革。経営・人事・現場部門の連携が不可欠
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一度やれば十分 |
環境は変化する。定期的な再診断と改善サイクルの定着が成功の鍵
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Q1. スコアが低かったらどうすればいい?
むしろ好機です。改善余地が多いということ。診断を出発点として、優先順位をつけて改善すれば効果が出やすい段階です。
Q2. 他社と比較する意味はある?
あります。IPAが収集したベンチマークと比較することで、業界内での自社の位置づけや強み・弱みが客観的に把握できます。
Q3. IT部門主導でも問題ない?
技術起点で進めることは可能ですが、経営判断と業務の巻き込みがなければ現場定着や改革実行が難航することがあります。理想は三位一体の体制です。
「AI女子」は、企業の生成AI活用・浸透を支援する常駐型DX人財サービスです。
「AI女子」は生成AIはもちろんのこと、Excel、VBA、RPA、IT、デジタルマーケティングなどのスキルと実務経験を兼ね備えているプロ集団です。そのため、生成AIだけではなく、各技術を掛け合わせた本質的な課題解決・業務効率化のサポートが可能です。
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DX推進に必要なのは、特別なツールや予算だけではありません。まずは、自社の現実を正確に把握することが成功への第一歩です。
このプロセスを丁寧に積み重ねることで、DXは社内に根付き、確実な成果へとつながっていきます。