コラム ~ 業務効率化・業務自動化についての最新情報、用語、ノウハウなど ~

使い方より伝え方──生成AI時代の必須スキルはプロンプト力より“言語化力”

作成者: Admin|May 30, 2025 5:29:17 PM

生成AIが広く普及する中、「どうすればAIを業務に活かせるのか?」と悩む企業が増えています。ここで多くの場合に見落とされているのが、「AIに何をどう伝えるか」という私たちの『言語化能力』の重要性です。

そこで今回は、生成AI活用においてなぜ『言語化能力』が重要なのか、どのように培えばよいのかについてご紹介します。

生成AIと言語化

「言語化」というのは、ただ言葉を並べるだけではありません。それは自分の頭の中のモヤモヤした考えや気持ち、目的を、誰が聞いても理解できるよう明確な言葉で表現する力のことです。いわば、AIとのコミュニケーションを円滑にするための『翻訳スキル』なのです。このスキルがないと、どんなに優秀なAIでもその性能を十分に発揮できません。

では具体的に、どのように言語化すればよいのでしょうか?

言語化とは?

言語化とは曖昧な考えを具体的にすること。たとえば、「仕事をもっと楽にしたい」と言うだけではAIは困ります。「月末に集中する事務作業を自動化して、特に請求書の作成時間を短くしたい」と具体的に伝えることで、AIから的確なアイデアが出てくるのです。

「構造」と「論理性」が言語化能力を支える

プロンプト(AIへの指示)を書くときに大事なのが、「構造」と「論理性」です。これらがしっかりしていると、自分の考えを明確に整理でき、AIにも正しく伝わります。

具体的には次のような流れです。

  1. 導入(目的):AIが「なぜその作業をするのか」を理解できるように背景を説明します。

  2. 主張(求めること):「何をしてほしいか」をはっきりと伝えます。

  3. 根拠(追加情報):必要なデータや条件をきちんと与えます。

  4. 結論(期待する結果):「最終的にどうしたいのか」を簡潔に示します。

例えば、営業成績を分析するときなら、「売上を伸ばすために昨年の売上データを分析し、営業担当者ごとの強みや弱みを明らかにしたい。地域や商品ごとに分類し、次の戦略に活かせるレポートをお願いします」と伝えると、AIはすぐに意図を掴みます。

抽象的な表現と具体的な表現のバランス

抽象と具体のバランスが重要な理由

言語化では抽象的な表現と具体的な表現のバランスがとても大切です。抽象的すぎるとAIは困ってしまいますし、具体的すぎるとAIが自由な発想を発揮できません。

たとえば、「売上を伸ばしたい」とだけ言われても、AIはどこから手をつければいいか分かりません。反対に、「明日の午後2時からTwitterだけを使い、20代向けに3日間で売上を2倍にする」と具体的すぎると、AIが柔軟なアイデアを出しづらくなります。

ちょうど良いバランスは、「若年層向けにSNSマーケティングをして新商品の売上を伸ばしたい。特にTwitterやInstagramを活用したい」くらいです。このくらいの表現なら、AIは目的を理解しつつも自由な提案をしてくれます。

何度もAIとやり取りをして、この良いバランスを探してみましょう。

「メタ認知」で言語化能力を高める

人間のメタ認知

「メタ認知」というと難しく聞こえますが、簡単に言えば、「自分の考えや行動を客観的に見る力」です。つまり、自分をちょっと離れたところから見るイメージです。

例えばAIの回答が思い通りでなかった時、「AIがダメだ」と決めつけるのではなく、「自分の指示が分かりにくかったかな?」と一歩引いて考えるのがメタ認知です。

具体的には、AIが理解しにくかった理由を考えます。「情報が足りなかった?」「言葉が曖昧だった?」「指示の順番が混乱を招いた?」と振り返り、それを次の指示に活かします。

AIにおけるメタ的処理

人間だけでなく、AI自身にも「メタ認知プロンプト」を与えることができます。

例えば、

  • 「回答をもう一度確認して、情報不足や誤解を招く表現を見直してください。」

  • 「この回答で問題となりそうな点を指摘し、その改善方法を具体的に教えてください。」

と指示をすると、AI自身も答えを改善できるようになります。

人間もAIもお互いに自分で発したものが良かったものなのか省みることで、AIの出力精度が向上するかもしれません。

今日から始められる言語化トレーニング

言語化能力は、実際に手を動かして日々の業務で簡単に鍛えられます。今すぐ始められる具体的な方法をご紹介します。

今日の仕事を3行で要約してみる

日報を書く際、今日一番大事だったことを簡潔にまとめる練習をしましょう。

1日の終わりに5分間メモタイムを取る

その日のうちに気づいた改善点やアイデアを3つメモする習慣を作りましょう。

隣の部署の人に仕事の内容を説明する機会を作る

自分とは異なる分野の人に話すことで、分かりやすく伝えるスキルが磨かれます。

週に一度、同僚にフィードバックをもらう

「私の説明でわかりにくいところは?」と定期的に確認し、自分の伝え方を改善していきましょう。

通勤時間に5分でも本や記事を読む

新しい言葉や表現に触れ、自分の語彙や表現力を広げましょう。

このように毎日少しずつでも続けていくことで、AI活用はもちろん、業務全般の質が格段に上がります。

生成AIと言語化トレーニング

前のセクションでご紹介したように、日々の業務の中で言語化能力を鍛える方法はいくつもありますが、実は生成AIとの対話自体も、非常に効果的な言語化トレーニングになります。

AIは、こちらの伝えた内容に即座に反応し、答えを返してくれます。つまり、自分の言葉がどう受け取られたかをすぐに確認できる、とても優秀な“フィードバック相手”なのです。だからこそ、生成AIは単なるツールとしてではなく、自分の思考や表現力を磨くためのパートナーとしても活用できます。

例えば、以下のようなトレーニングが可能です。

  • 同じテーマで異なるプロンプトを試してみる
     → どんな書き方をすると、より意図に沿った回答が得られるかを比較して学べます。

  • AIに自分のプロンプトの改善点を尋ねる
     → 「この指示、わかりにくいところある?」「もっと良くできる?」などと質問して、自己修正力を高めます。

  • 自分の文章をAIに要約させてみる
     → こちらの伝えたいことが正しく伝わっているか、要約結果から確認できます。

このように、AIとのやり取りを重ねること自体が、「伝える→反応を見る→修正する」という言語化のPDCAサイクルになります。

生成AIを“ただの便利ツール”で終わらせず、“自分の思考を磨くトレーナー”として活用することで、業務への活用レベルも自然と高まっていくはずです。日々の業務の中に、ぜひこのトレーニングも取り入れてみてください。

コクーの「AI女子」とは?


「AI女子」は、企業の生成AI活用・浸透を支援する常駐型DX人財サービスです。

「AI女子」は生成AIはもちろんのこと、Excel、VBA、RPA、IT、デジタルマーケティングなどのスキルと実務経験を兼ね備えているプロ集団です。そのため、生成AIだけではなく、各技術を掛け合わせた本質的な課題解決・業務効率化のサポートが可能です。

数多くの企業に常駐してきた経験から、現場のボトルネック発掘や課題特定、有効施策の提案・実施、分析・効果検証を得意とし、「慎重なPoCを行い生成AIツールを導入したものの社内活用率が低い」「費用対効果が低い・社内で目立った成果がない」「人手不足でPDCAが回っていない」といった課題に向き合い、生成AI活用促進をサポートします。

生成AI活用促進のための戦略・施策策定、データ加工・作業自動化、貴社ユースケースの発掘・展開、分析・効果検証など、貴社の課題・フェーズに合わせた、最適な人財をアサインし効率的にご支援いたします。

現在、「AI女子」導入企業様で行なっている主な業務例

問い合わせ対応・ヘルプデスク運営

生成AIに関する各種問い合わせに迅速対応し、専用ヘルプデスクでサポート。

勉強会・研修の実施

定期的な勉強会や研修を通じて、社員のリテラシー向上と活用率の向上。

最新情報・事例のコンテンツ作成・発信

ポータルサイトやメルマガを活用し、最新情報や成功事例を効果的に発信。

プロンプト作成・検証

貴社独自のプロンプト作成、既存プロンプトの添削、各部署へのヒアリングを通じた高度なプロンプト作成を実施。

データ整備とRAG検証

生成AIに読み込ませるためのデータ加工・クレンジング、RAG検証。活用ログの解析や集計分析作業を請負

定型作業の自動化

VBA、RPA、GASなどを活用したスクリプト構築や、生成AIと他ツールの連携による業務効率化を推進。

業務設計・戦略策定

生成AI導入・活用促進に合わせた運用体制や目標設定の見直し、業務プロセス全体の最適化、部門間連携を強化するための仕組みづくり・推進体制構築を支援。

まとめ

生成AIは、企業の業務効率化や新規事業開発、さらには競争力の向上に大きく貢献します。しかし、その導入と活用には明確な戦略と専門的な知識が必要です。本記事で紹介した成功事例や解決策を参考に、自社に最適な生成AI活用方法を見つけてください。

また、「AI女子」の人財サービスを活用することで、専門人材不足という課題をクリアし、生成AIの可能性を最大限に引き出すことができます。「AI女子」は、企業の生成AI活用を全面的にサポートし、業務設計からプロンプト作成、データ整備、検証、社員教育までトータルで支援いたします。ぜひ一度、「AI女子」にお問合せください。