「使い慣れたツール」にAIがそっと入り込むーーー
「AIって、すごそうだけど難しそう」。
そんな印象、ありませんか？ChatGPTや生成AIという言葉があふれる中、実際の仕事でどう使えばいいのかは意外と見えにくいものです。
でも、もし今使っているExcelやWordに、AIがさりげなく組み込まれていたら？
「この表の傾向、説明して」「この議事録、簡潔にまとめて」と声をかけるだけで作業を手伝ってくれる存在がいたら——。
それが、Microsoft 365 Copilot（コパイロット）です。
特別なアプリを新たに覚える必要はありません。使い慣れたツールの“中に”いるのが、Copilotの特徴です。
Copilotは、Microsoft 365の中核ツールと自然に連携します。以下のような活用が可能です。
| アプリ | 主な利用例 |
|---|---|
| Word | 文章の要約、構成の見直し、トーンの調整 |
| Excel | 関数提案、傾向分析、グラフの自動生成 |
| PowerPoint | スライドのたたき台作成、要点の視覚化 |
| Outlook | メールの要約、返信文の下書き、自動分類 |
| Teams | 会議内容の要点抽出、タスク化、議事録の作成 |
どのアプリでも共通しているのは、「自然な言葉でお願いできること」。
たとえば、「昨日の会議、要点だけまとめて」といった指示でも十分通じます。
AIに話しかける、というより“ちょっと詳しい同僚に頼む”くらいの感覚に近いかもしれません。
では、実際に職場ではどんなふうに活用されているのでしょうか？いくつかの例を見てみましょう。
会議が終わると同時に、要点やタスクが整理されて表示されます。
「あとでまとめよう」が減り、その分すぐ次の仕事に移れます。
Wordで書いた文章から、PowerPointのスライド構成を作ってくれます。
手間がかかる“資料のたたき台づくり”が、あっという間に終わります。
表の中を一つ一つ見るのではなく、「どこが増えているの？」「売上の傾向は？」と聞くと、Copilotが要点を文章で返してくれます。必要ならグラフにもしてくれます。
こうした使い方は、特に日常的に資料を作る人や、情報をまとめる仕事が多い人にとって、手放せないツールになるはずです。
ここで少し視点を変えて、Microsoft自身がCopilotをどう位置づけているかを見てみましょう。
Satya Nadella CEOは、Copilotについてこう話しています。
「Copilotは、私たちがコンピューティングと対話する方法における次の大きな進化であり、仕事の仕方を根本的に変えるものです。」
やや堅い言い回しですが、要は「AIをツールとして学ばせる」のではなく、「日常に溶け込ませたい」という意図があるわけです。
たとえば、CopilotではどのAIモデルを使うか選ぶ画面はありません。GPT-4をベースにした高度なモデルが動いているのですが、それを使っていることを意識する必要はないのです。
Microsoftは、こうした設計によって、「どんな人でも迷わず、正しく使える」ことを重視しています。
Copilotは、Outlook、Word、Excel、Teamsといった普段のツールの中で動きます。しかも、ユーザーのデータやアクセス権に基づいて処理されるため、勝手に見てはいけない情報にはアクセスしません。
Microsoftはこの点についても明確にこう述べています。
「Copilotは、Microsoft 365のセキュリティ、コンプライアンス、プライバシー要件をすべて継承します。」（Microsoft Learnより）
つまり、すでに社内でMicrosoft 365を使っている会社であれば、新しくセキュリティ設定をゼロから考え直す必要はないということです。
ここでよくある疑問。「CopilotとChatGPT、何が違うの？」
簡単にまとめるとこうなります。
| 項目 | Copilot | ChatGPT |
|---|---|---|
| 前提 | Microsoft 365の契約が必要 | 単体で使える（無料 or 有料） |
| 得意なこと | 会議の要約、文書作成、業務効率化 | アイデア出し、創作、柔らかい会話 |
| 苦手なこと | 自由な発想、業務以外の幅広い問い | 業務の文脈理解、社内データとの連携 |
Copilotは“業務に組み込まれたAI”、ChatGPTは“自由な発想をくれるAI”と考えると、用途がイメージしやすいと思います。
生成AIをすでに導入した企業からよく聞く声があります。
「ツールが分かれていて、結局コピー＆ペーストが発生する」
「文字起こしは別ツール、要約は別アプリ、資料化はまた別」
「ツールの切り替えが多すぎて、逆に疲れる」
このように、AI自体は便利でも、“バラバラの道具”として入れてしまうと、作業の流れが分断されてしまうのです。
その結果、「効率化」のはずが、作業の増加や、使わない人が出てくるという課題につながります。
では、Copilotはどうか？
Copilotは、OutlookやTeams、Word、Excelといった**「もともと日常的に使っているアプリの中で動くAI」です**。
新しいUIを覚える必要もなく、別のアプリを立ち上げる必要もありません。
たとえば、Teams会議が終わったら——
そのまま自動で議事録のたたき台が出てきて、タスクも整理され、必要があればWordにそのまま出力できます。
音声を文字起こしして→要約して→コピーして→Wordに貼って……という流れが一つの場所で完結するのです。
この“流れの中にいるAI”という設計こそ、Copilotの大きな強みです。
業務の途中で別ツールを呼び出すことなく、「いつもの場所で、必要なときに、ちょっと助けてもらう」使い方ができます。
これは、ツール単体の性能とは別次元の使いやすさです。
導入して終わりではなく、「実際に現場で使い続けられるか？」が重要だと考える企業にとって、Copilotはその課題に現実的な解決策を出しています。
便利そうに見えるCopilotですが、導入前に確認しておきたいポイントもあります。
便利な機能でも、「何ができるのか」「どこを押せばいいのか」が分からないと使われません。簡単な社内トレーニングや、よくある使い方のガイドがあるとスムーズです。
Copilotの提案が毎回正しいとは限りません。特に数字や文章の意味が重要な場合は、最終チェックは人間の手で行うことをおすすめします。
基本的にはMicrosoft 365の設定に準じますが、社内でどこまで情報をAIに使わせてよいかなど、運用ルールを整理しておくと安心です。
Copilotは追加ライセンスが必要な場合があります。導入する範囲（部署単位など）を絞って効果を試すのが、現実的なスタートです。
「AI女子」は、企業の生成AI活用・浸透を支援する常駐型DX人財サービスです。
「AI女子」は生成AIはもちろんのこと、Excel、VBA、RPA、IT、デジタルマーケティングなどのスキルと実務経験を兼ね備えているプロ集団です。そのため、生成AIだけではなく、各技術を掛け合わせた本質的な課題解決・業務効率化のサポートが可能です。
数多くの企業に常駐してきた経験から、現場のボトルネック発掘や課題特定、有効施策の提案・実施、分析・効果検証を得意とし、「慎重なPoCを行い生成AIツールを導入したものの社内活用率が低い」「費用対効果が低い・社内で目立った成果がない」「人手不足でPDCAが回っていない」といった課題に向き合い、生成AI活用促進をサポートします。
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生成AI導入・活用促進に合わせた運用体制や目標設定の見直し、業務プロセス全体の最適化、部門間連携を強化するための仕組みづくり・推進体制構築を支援。
Microsoft 365 Copilotは、派手な見た目や目新しさよりも、「地味に時間がかかる仕事」を減らしてくれる道具です。
日々の仕事の中で「これ、まとめてほしい」「誰かに先に下書きしておいてほしい」
そんな場面に、ちょっとだけ頼れる存在がいる。Copilotは、そんな位置づけのツールです。
AIに抵抗感がある人も、「試しに使ってみる」と、意外とすんなり馴染むかもしれません。
実際、最初は「これ本当に使えるの？」という声が、使った人から「思ったよりちゃんとしてるね」に変わることがよくあります。
導入の目的は、“未来っぽいことをやる”ことではありません。
今やっている仕事を、少しだけ効率よく、少しだけ楽にすること。
それが、Copilotの価値だと私は思います。